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人食いバクテリアについて

[2024.06.18]

こんにちは!

のどが痛いと受診される方がそれなりにおり、一応溶連菌感染を疑って検査をすると、全員ではないのですがまだ陽性となる方がおります。本来溶連菌感染症は冬に多いものですが、まだダラダラと続いている印象ですので発熱と強い咽頭痛がある方は検査をしてみてもよいかもしれません。

ところで溶連菌感染は怖いという情報がこのところ(溶連菌感染症が多いため)マスメディアを通じてなされていて、溶連菌のことを人食いバクテリアとして扱っているようです。皮膚についた溶連菌(常在菌として皮膚に生着していることもあります)が、皮膚下の筋膜で炎症を起こして、急速に全身状態を悪くする壊死性筋膜炎を起こすことがあり、怖いというイメージにつながるようです(たしかに壊死性筋膜炎は致死率が高いです)。

ところで溶連菌には実は何種類もタイプがあり、壊死性筋膜炎をおこすタイプと咽頭炎を起こす溶連菌は別物の可能性があります。溶連菌による咽頭炎のあとに壊死性筋膜炎を起こすことはほとんどないと米国小児科学会の感染症ガイドには記載があります。発熱と皮膚深部の痛み、炎症、発赤を伴う場合に壊死性筋膜炎を考える、という感じになります。なお米国では、水痘(みずぼうそう)予防接種普及前は壊死性筋膜炎の発症に水痘の発疹からの侵入経路が最も考えられていたようです。水痘はかゆみをともなうため、皮膚についた溶連菌が掻いた皮膚から侵入していたからかもしれません。すると水痘予防接種も非常に大切なものになりますね。

最後に。

溶連菌を疑ってなぜ検査をするか、ということは非常に大切な理由があります。腎炎を起こさないようにするためではなく、リウマチ熱という心臓の病気を予防するために治療します。また治療期間を短くするためにセフェム系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬を使用される医師もいるようですが、ペニシリンに対してのアレルギーがなければあくまでもペニシリン系の抗菌薬が第一選択となるので覚えておいてください。

 

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